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店主コラム

2009年 3月5日

「武藤順九さん」

先日、30年以上前から年上の友人としてお付き合いをさせてもらっているUさんから携帯に電話が入った。「おい鳥居くん!今晩空いてへんか?実はなあ、すっごい有名な彫刻家の先生と飲み会があんねん!!」「どれくらい凄いか聞いたら驚くで!イタリヤのバチカン宮殿とな、インドのブッダガヤとな、デビルズタワーっちゅうインディアンの聖地とな、NYのグラウンドゼロにも彫刻を作ったはるんや!!」

「行く行く行く行きますわ!!!」そこまで聞いて私は「行く!」を連呼していた。しかし、無学な私はこの世界的に著名なアーティストである武藤順九さんの事を全く知らなかった。う~ん恥ずかしい・・・

それにしても、世界に誇るべき日系の彫刻家とお知り合いになれる事はとっても嬉しい。私が大好きな(宿泊部屋の設えもそのセンで固めている)ジャパニーズ・モダンデザインの楚を作った柳宗理や剣持勇、イサム・ノグチやジョージ・ナカシマ(07年10月と11月のコラムをご参照下さい。)等の大御所は既に他界されているし、お目にかかる事は叶わないのである。それが、セレモニーとかサイン会では無く「飲み会」でっせ!!興奮するなっちゅう方がおかしいやろ!!!

仕事の都合で少し遅れて四条烏丸の会場に着いた。この日の会は、桜の時期に合わせて木屋町で毎年開催されている、高瀬川桜まつりのスペシャルイベントとして、順九さんの彫刻作品を展示する事をサポートする人達の集いだった。Uさんに紹介してもらって、順九さんと挨拶する。「貴船から来た鳥居と申します・・・」「えっ!貴船から来たの!?」「こんなイベント貴船でもやって欲しいです!」「よし!やろうよっ!!!」

お会いしてすぐに、11月の紅葉灯篭(貴船のライトアップイベント)の時期に、順九さんの彫刻を貴船に並べる事が決まった。さっすがパワースポットやな。 こんな展開は予想だにしていなかったけど、会の皆さんも賛同して下さり、楽しい酒を酌み交わし、二次会の席である上七軒へ移動した。

二次会では順九さんとゆっくり話す事が出来た。順九さんは、世界中の誰が見ても、例えば、遥か未来に、他の惑星からやって来た宇宙人がそれを見たとしても、「問答無用で美しい物は美しい」と感じさせる彫刻を作っておられる。そういう美しさは人の心を温めて、平和をもたらす。だからこそ、宗教の壁を超えて、戦地やテロの標的になった場所からも作品を求められる事になったんやろうと思う。

でもそれは、私にはちょっとショックな出来事やった。いつの間にか素直な気持ちを忘れてしまって、コンセプチュアル・アートに傾倒していた自分の傲慢さを指摘されたような気がしたのだ。賢こぶって、デュシャンの泉をアートやと言って、それを理解しない人をどっかで小馬鹿にしていた・・・最悪最低・・・

“雑念を捨てて、考える前に感じるべし!!”

これから、順九さんを(勝手に)兄貴と思って、その心境に少しでも近づけるように頑張ろう。また一人、尊敬できる人に出会えて私は嬉しい!!

写真1

順九さんと。(貴船神社奥の院にて)

写真2

バチカン宮殿に永久設置された順九さんの作品

写真3

コンセプチュアル・アートの代表作、デュシャンの泉。
要するに既成の便器です。これを美しいと思っても良いし、思わなくても良いわけです。

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