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店主コラム

2006年 10月 20日

「名残り」

ここ貴船では、半年間に及ぶ川床の季節もようやく終わり、4月中旬から設えにかかった葭簾屋根や床机等も役目を果たし、一斉に撤去されました。
そして、元の何も無い、自然のままの貴船川に戻りました。
…「閑寂」…
夏の終わりって、なんとなく物寂しい気持ちになったりしませんか?
10月は名残りの季節と言われますね。「名残り」とは、辞書によると「過ぎ去ろうとするものを惜しむ気持ち」なのだそうです。
私の茶の師匠は、茶人はこの最も侘びた風情の季節に、釜を懸けて楽しむものだと言いいます。
茶道具も、普段は使わない侘びた雰囲気の物を選んで取り合わせます。
長く使ってヤツれた「やつれ風炉」や欠けた茶碗を継いで直した「呼び続ぎ茶碗」等です。
物寂しいこの季節に、「名残り」の気分を楽しんで釜を懸けるなんて…
何事も前向きにとらえ、それを芸術の域にまで昇華させてしまう茶人の感性には驚くばかりです。
私も見習って、少しでも先人達に近づきたいと思う今日この頃です。

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