frame-left
frame-right

店主コラム

2006年 8月 6日

「夏は朝茶」

暑い日が続きますね。 何を書こうか迷ったのですが、先日、茶の師匠にお招き頂いた朝茶の事について書くことにします。
京都の夏は無茶苦茶暑いので、この時期には暑さを避けて、早朝の涼しい内に朝茶が催されます。
6時からの朝茶に備えて、4時半に起きて、着物を着て、5時過ぎに家を出ます。師匠宅は鷹ヶ峰の山手にあって、早朝は特に爽やかです。
玄関先にはたっぷりと水が打たれています。手がかりを開けると、寄り付きの畳の上には籐むしろが敷いてあります。障子は殆どが葭戸に替えてあり、涼しげな夏仕様になっています。建具を替えてむしろを敷くだけで、座敷の雰囲気は一変します。昔の人の知恵は本当に素晴らしいですね。
蹲で手と口を清めて、茶室に入ります。こちらの建具も葭戸に替えてあり、普段は見えない庭の緑が葭戸越しに美しく映えます。照明が暗めに調節されているため、葭戸越しの庭の景色はまるで日本画を見るようです。師匠の演出センスの良さには今更ながら驚きます。
客は10名で、全員が師匠の弟子です。正客は地方で茶道の先生をされている方。お詰めは料亭の主人です。私はいつもの様に、末席の方に座らせていただきます。
師匠自ら座布団をお運び頂いたので、敷かせてもらいます。師匠に座布団を運ばせるなんて、この世界だけの事でしょうね。本当に恐縮します。何年たっても正座は苦手なので、これで足の痛みを忘れて懐石を味わう事ができます。
御膳も師匠自らお運び頂き、座ったまま一歩前に出て受け取ります。最初に、絶妙な蒸れ加減のご飯を一口頂きます。美味い!そして、朝から飲む、キリリと冷えたお酒は最高!献立について詳しく書くスペースが無いのが残念ですが、師匠の料理は、一言で言えば、原価無制限直球勝負の懐石です。なので、どんな料理屋も勝てません。勝負したら、料理屋は潰れてしまいます。
懐石を頂いたら、席を改めて、いよいよ濃茶をいただきます。濃茶を点てられる師匠の姿は、老いてますます侘び茶人を極めておられるように見えます。師匠のお茶を頂く事は、弟子にとってはこの上ない喜びです。
約4時間の朝茶を終えて、余韻を味わいつつ玄関を出ると、もう日は高くなっていました。ところで、なんで夏に夜咄の茶事をしないのか、不思議ではありましたが、師匠によると、露地で明かりをつけたら虫が大集合してきて、大変な事になったそうです。やはり、「夏は朝茶」なのです。

右源太の茶室

夏仕様の葭戸

夏仕様の葭戸に替えました。

夏の飾り

夏の飾り。
熱源となってしまう風炉釜は 熱が外に漏れにくい形になっています。

過去のコラム